<前飛び> <飛び防止置き技> <置きに刺す下段>
これがいわゆる旧三竦み。
KOFは飛びが強いゲームで、飛びで乗っかることが立ち回りにおける短期的で分かりやすいゴールの一つになりやすい。
細かく見れば「飛びが強い」ということの中身も色々あると思うんだけど、最も分かりやすいのは純粋に速いこと。庵が近Cからコンボに行けるタイミングで小JC等を振ることを考えても、庵が浮いてから最速16Fの中段になるらしい。
賛否はあるだろうけど、13では特に、それまでピンピンしてた奴がそこから一瞬で死ぬまであるゲームだからなおさら強い。
加えて、キャラによっては上りと下りのフレームが違って対空のタイミングを図り辛かったり、予備動作が立ち姿勢と殆ど変わらなかったりするので、オート対空やウメ昇龍実装者以外の実際の対戦では、飛びに対処するための行動にある程度読みやジャンケンの要素が介在することになる。
新旧三竦みというのは、こうした飛びと迎撃にまつわる読み合いの一部を言語的に定式化したもので、13に限らず新規プレイヤーがKOFを始める上で立ち回りの基本的な仕組みとして参照することが多いようだ。実際に自分が13を始めるにあたって初心者向けの情報を探している時によく目にした。
しかしながら、この三竦みをある程度頭に入れて対戦に臨んだはずなのに、上級者との対戦ではてんで通用しないなんてことは当たり前のように起こる。三竦みはいわば「ジャンケン」なので
仕組みさえ理解すればそうそう負け続ける事なんてないはずだが、そういうことが実際の対戦では頻発する。
これは当然と言えば当然で、一つにはいわゆる上級者の方が相手の癖を読み取る効率が高かったり、試合の中でそうするための余裕があったりすることが関係しているのだろう。KOFに限らずよく指摘されることだ。
こうした癖読みのより具体的な中身を記述する試みも無い訳ではない。
しかしながら、「数ある選択肢の中で相手がどれを選ぶか」というのはどこまで突き詰めても相手に決定権のある問題である。
択の誘導にしても、「相手が自分と同じような見方で画面を見ている」ことがある程度前提になるので、例え言語化したとしてそれがどの程度の一般性を持ちうるかは難しい問題のように感じる。
この機会に自戒や備忘録を兼ねて考えたいのは、言語化された定式や仕組みの中で暗黙の内に前提となっていることや、前提が満たされていない場合のノイズのような状況について。
13を初めて1年強経つ中で、相手の頭の中の事ではなく、純粋に画面の中で起こってることについてもう少し整理できそうなことがありそうだと感じられるようになってきた。
A・B・Cの三竦みだとして発信されていることが実は単純な三竦みではなく、上級者は経験から何となく理解してDやEという選択肢を押し付けてくる。
基本的な仕組みとして旧三竦みを参照するのは実際に有用だと思うが、実は明文化されていない前提が満たされない場合は、三竦みは成立しなくなる。
そして、その明文化されていない前提は実際の対戦の中で頻繁に破られることが、これまでの対戦経験で分かってきた。
旧三竦みにおいて、明文化はされていないが三竦みの状況が成立するために絶対に欠かせない前提がある。
それは「立ちA等の飛び防止技が飛びに引っかかる距離に居ること」である。
(飛ばれそうだな)と思って立ち技を置いたとしても、飛ばれても当たらない距離で振ってるのであれば、それはジャンケンにもならない硬直を晒すだけの悪手になる。当たり前のことだけど。
更に言えば、<相手がJ攻撃で乗っかる>という択が成立し得る距離(前提1)において、<立ち技で飛びを落とす>(前提2)という択が同時に成立するためには、基本的には <Jする側は小中Jで飛んでくる>(前提3)という明文化されていない条件が前提になっていることが多い。
例えばトレモでK'同キャラを選びレコーディングすると分かり易い。CPUに密着から2Bを三発刻ませ、そこから中Jで触りに来る場合と通常Jで触りにくる場合の2種類をレコーディングして立ちAを振ってみる。
実戦で言えば、下段を刻んだもののガードされてしまったため、
【再び攻めのターンを獲得する】 / 【相手の攻めを途切れさせる】
お互いにこういう読み合いが生じている状況である。
旧三竦み的に言えば、この状況は立ちAを振っている側が勝つジャンケンのはずである。実際に相手が中Jで飛んでくる場合、殆ど立ちAで飛びを落とせる。
しかし、この距離からの通常Jを立ちAで落とすのは実はかなり難しい。相手が飛んでから自キャラに迫ってくる時の軌道が違うからだ。
このように、通常Jで飛び防止技を空かされる距離では、すべき読み合いは異なる。
こうした条件下での読み合いについて、色々と考えた結論を以下に書こうと思う。
「めんどくさっ! キム使って5D擦るわ!!」
~FIN~